詩人が、心を表現するために選びに選び抜いた言葉の中から、さらに厳選したものだけを詰め込んだ「詩」。
とびきりな詩を読むことは、とびっきり素敵な場所へ旅行するのと同じくらい、脳内に「幸せ」を感じられます。
そして、心に蓄積された「幸せな言葉」は、あなたが日々に疲れた時、必ずあなたを救ってくれます。
今回はそんな「知っていると幸せに近づく」詩の中から、佐藤春夫さんの「夕づつを見て」をご紹介します。
夕づつを見て|佐藤春夫さん
夕づつを見て 佐藤春夫
きよく
かがやかに
たかく
ただひとりに
なんじ
星のごとく。出典:ポケット詩集Ⅲ/童話屋
今回ご紹介している詩は、題名を除けばたった25文字で作られている短い詩です。
しかし、この詩のおかげで、私は自分自身が本当に自分の道を失ってしまっていた時、命を繋げることができました。
見上げることを、思い出させてくれた
気持ちが落ち込んで、どうしようもなく視野が狭まっていた時、私は「空を見上げること」が出来なくなっていました。
自分では気づいていませんでしたが。
自分が進んでいること、考えていること、実践しようとしていること、どれもが「世の中全てから」否定されているような気がして、ただただ孤独でした。
家族がいても、友人がいても、恋人がいても、なかなか自分の言葉は身近な人に通じなくて、そんな自分がいけないのだろうと、どうしようもなく悲しい日々が続いていました。
表面上は笑うことも、楽しんでいるふりもできる。でも、心は一人きりで、もう、自分が目指すことは間違いなんじゃないかと思っていた時、大好きな「ポケット詩集」シリーズに新刊がでたこと知りました。
帰宅中に寄った書店で早速購入して帰宅。ページをめくったら2作目に掲載された詩として「夕づつを見て」がありました。
たった25文字。
でも、この25文字を目が追うだけで、一気に涙が溢れました。
「間違ってないよ」
25文字が、直接心に、こう言ってくれた気がしました。
あの時、この詩に出会ってなかったら、私はきっと私を嫌いなままだったし、自分を許せる今の私にはなれていなかったと思っています。
夕暮れの空、見上げると星がありました。夕づつです。
「なんじ星のごとく」
誰が、当時の私にこう言ってくれたでしょうか。
誰にも届かなった言葉を認めて「星のごとく」と引き上げてくれた。
言葉が「人を救う」ことを強く感じた、私にとってとても大事な一瞬でした。
幸せに生きるための「言葉」
今回は「詩」でしたが、幸せに生きるためには、日々に遣う言葉、心に思う言葉がとても大切だと思います。
私自身、今は小学生2人の子どもの育児真っただ中で、いつもいつも美しい言葉を遣えているわけではありません。
でも、ストックとして、どれだけ遣える言葉をもっているか、というのは、幸せに生きるためにすごく関係していると実感しています。
自分の心の状態を説明する・表現する時にたくさんの言葉から「より深く」かつ「より的確」な言葉を選んで表現できれば、心は無用なしんどさを背負う必要がなくなります。
また、言葉のストックが多ければ、より多くの人と適切なコミュニケーションをとれますし、自分にとって「心地よいコミュニケーションが取れる場所」はどこか、わかるようになります。
自然に呼吸をし、自分にとっての自然な言葉で心地よくいられるというのは、幸せに生きるためにとても重要なことですよ。
まとめ
今回ご紹介している詩は「ポケット詩集Ⅲ」から引用しました。
この「ポケット詩集」シリーズは、1冊の中にいくつもの素晴らしい詩が収められている詩集です。
まえがきには、編者の田中和雄さんのこのような言葉が書かれています。
子どもたち、ポケットにしのばせるのは、ナイフではなく、一冊の詩集であってほしい
出典:ポケット詩集Ⅲ/童話屋
昨今、人の心は殺伐としています。
本物のナイフではなくても、言葉の刃が、SNSだけでなく各所で「他者にも自分にも」差し向けられています。
心に構えるナイフは、本人は隠しているつもりでも、実は隠せていないものです。
そんな現代人には、本当に「詩が効く」と思っています。
「詩を心に沁みこませることができる」、そんな心を持てるようになったら、次はあなたが自分で「詩を書いてみて」ください。
あなたが幸せになり、心を上等に磨けば磨くほど、詩は美しく光を放ちます。
幸せに生きるためには、使う言葉を1つずつでいいから変えていき、美しくしていくことも、とても重要です。
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